寄生虫名 Philometroides sp.(フィロメトロイデス属線虫)
分類学 線形動物門、双線綱、フィロメトラ科
宿主名 カツオ(Katsuwonus pelamis
寄生部位 体側筋肉
肉眼所見 生ガツオ中に、切断された状態で虫体断片が混入していた(写真1)。
寄生虫学 直径1.5 mmの円筒形、切断された断片の長さは1.5-3.5 cm、頭部や尾部は見つからなかったが、線虫類の虫体の一部と判断された(写真2)。内部には細く濃色の腸管が表皮を透して見られ、その他は子宮が占めていた。体表には本属に特有の細かい突起(cuticular bosses)が観察された(写真3)。子宮内には卵胎生の幼虫が充満し、虫体の断面から幼虫があふれ出しているのが観察された(写真4)。
病理学 宿主にどのような影響を及ぼすかは不明であるが、被寄生魚は商品価値を失う。
人体に対する影響 フィロメトラ科の線虫はすべて魚類寄生性なので、人に対する影響はない。
診断法 体表に存在する突起(cuticular bosses)を確認することで、Philometroides属であると同定できる。
その他の情報 Philometroides属にはブリに寄生するPhilometroides seriolae(ブリ筋肉線虫)が有名である(中島ら、1970)が、カツオのものは種レベルで同定できなかった。
参考文献 中島健次・江草周三・中島東夫 (1970): ブリに寄生する線虫Philometroides seriolaeの魚体脱出現象について. 魚病研究, 4, 83-86.

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写真4.虫体の断面から遊出している幼虫

写真3.Philometroides sp.体表の突起(矢印)

写真1.カツオ筋肉から見つかった線虫断片

写真2.カツオから見つかった線虫虫体の拡大

または